薬学部の就職先は薬剤師だけじゃない|薬剤師以外の進路6つと、選び方

「薬局か病院か、どっちも今ひとつピンとこない」
「調剤だけを一生やる自分が、想像できない」
「でも、他にどんな道があるのか分からない」

研究室からの帰り道に、「薬学部 就職先」「薬剤師以外 進路」とスマホで検索して、求人サイトの一覧ばかり出てきた、ということはありませんか?

結論から先に言います。「病院か薬局か」は、働く場所の話(業態)です。その手前に、どんな仕事をするかという「職種」の幅があります。ここを分けて考えると、選択肢は一気に増えます。

実は、やくフェスの運営に関わる薬剤師にも、病院から薬局へ移ってきた人がいます。道の名前を知っておくだけで、選び方は変わります。

今回は、薬剤師以外の進路を6つと、選ぶ前に確かめたい3つのことを整理します。

目次

1. 就職先のリアル|「業態」の前に「職種」がある

就活が始まると、いきなり「病院か、薬局か、ドラッグストアか」という質問が飛んできます。これは働く場所を選ぶ質問です。

ところが、その手前にはもう一段あります。患者さんに薬を渡す仕事をするのか、それとも薬そのものを作る・広める・見張る仕事をするのかという分かれ道です。

→ 後者を最初から見ていないと、「薬剤師として働くかどうか」まで悩みが大きくなってしまうことがあります。悩みの大きさが、実際の選択肢と合っていないのです。

なお、薬剤師免許を持つ人の多くは薬局や病院で働いています。6つの進路は主流ではありません。ただ、知らずに閉じるにはもったいない道です。

専門家コラム:職種名より「何をしたいか」を聞かれる

進路の幅を広げると、今度は「志望動機がぼやける」という別の心配が出てきます。採用する側は、そこをどう見ているのか。薬局長に聞きました。

面接で見るのは心意気です。「何をしたいのか」は確実に聞きます。どんなことをしたいかが、はっきりしている子がいいですね。

——林 泰太郎(漢方薬局 太陽堂 薬局長)

つまり、聞かれているのは職種名ではなく、やりたいことの中身です。「MRを志望しています」だけでは足りず、そこで何をしたいのかが問われます。

→ 逆に言えば、やりたいことがはっきりしていれば、職種は後からでも選び直せるということでもあります。

【あわせて読みたい】

「病院か薬局か」で迷っている人は、まずこちらを先に読んでください。

2. 【比較表】薬剤師以外の主な職種と、免許との関係

まず、代表的なものを並べます。免許との関係を見ると、思っていたより入口が広いことが分かります。

職種どんな仕事か薬剤師免許との関係
研究・開発(製薬企業)新しい薬のもとを探す。臨床試験を計画する必須ではない
MR(医薬情報担当者)医師や薬剤師に、薬の情報を届ける必須ではない
治験に関わる仕事治験が計画どおり進むよう、確認し支える必須ではない
行政(薬系技官など)薬や食品のルールを作り、守られているか確かめる募集の区分による

表をひと言でまとめると、薬剤師免許が「必須」でない仕事が多いということです。免許は入場券というより、薬の知識を持っている証明として効いてきます。

※ 募集の条件は会社・機関・年度によって変わります。必ず各社の募集要項や採用ページで確認してください。

3. 薬剤師以外の進路6つ

① 製薬企業の研究・開発

薬のもとになる物質を探したり、臨床試験の計画を立てたりする仕事です。大学院へ進んでから入る人が多いのが特徴です。研究室での経験が、そのまま話す材料になります。

② MR(医薬情報担当者)

医師や薬剤師のところへ行き、薬の効果や副作用の情報を届け、現場で起きたことを会社に持ち帰る仕事です。薬学部以外の出身者も多く、人と話す時間が長いのが特徴です。

③ 学術・DI(医薬品情報)

現場から来た質問に、資料を調べて答える仕事です。調べて、まとめて、正確に伝えるという作業が中心なので、レポートを丁寧に書いてきた人と相性がよい領域です。

④ 治験に関わる仕事(CRA・CRC)

治験(新しい薬の承認前に、人で効果と安全性を確かめる試験です)を支えます。CRAは計画どおり進んでいるか確認する立場、CRCは病院で患者さんと医師のあいだを調整する立場です。

⑤ 行政(薬系技官・保健所など)

厚生労働省の薬系技官は、化学・生物・薬学の知識を背景にした技術系の行政官です。薬や医療機器の開発、食の安全などに関わります。新卒は国家公務員の総合職の枠で採用されます。

→ 募集の条件は年度で変わります。厚生労働省の採用ページを直接見るのが確実です。

⑥ 医薬品卸(MS)

薬をメーカーから病院・薬局へ届ける会社の営業職です。薬局や病院の内側がよく見える立場なので、業界全体を知りたい人に向いています。

4. 「薬剤師以外」を選ぶ前に、確かめたい3つのこと

◯ 免許を使わない期間が長くなること

免許は無くなりませんが、調剤の実務から離れる時間は積み上がります。あとで現場に戻る可能性を残したいなら、そこは先に自覚しておいたほうが動きやすくなります。

◯ 職種名ではなく「場面」で言えるか

「研究がしたい」ではなく、自分がどんな場面で手を動かしていたいかまで言えると、面接でも自分の中でもぶれません。ここは林さんの言う「何をしたいのか」と同じ話です。

◯ 実際の1日を見てから決める

職種の説明は、どれも良さそうに読めます。1日の流れまで見ると印象は変わります。実習やインターンは、そのための場です。

【あわせて読みたい】

比べる材料として、まず薬剤師の1日を知っておくと差が見えます。

薬学部の就職先に関するよくある質問(FAQ)

薬剤師免許を取らずに、企業に行くのはもったいないですか?

免許は取れるなら取っておくほうが、選択肢は減りません

企業に進んだあとで現場に戻る人もいます。持っていて困る場面は、まず思い当たりません。

研究職に行くには、大学院に進む必要がありますか?

会社によって条件が違うため、この記事では断定しません。

ただ、大学院へ進んでから入る人が多いのは確かです。志望先の募集要項で、応募資格の欄を必ず確認してください。

低学年のうちから、何をしておけばいいですか?

職種名を覚えることより、実際に働いている人に会って話を聞くことが近道です。

研究室配属や実習の前に一度会っておくと、選び方が変わります。

途中で「やっぱり薬局で働きたい」となっても大丈夫ですか?

途中で進む先を変えること自体は、めずらしいことではありません。

大事なのは、なぜ移りたいのかを自分の言葉で言えるかです。そこが説明できれば、不利にはなりません。

まとめ:選択肢を知ってから、業態を選ぶ

薬学部の就職先は、病院・薬局・ドラッグストアだけではありません。研究・開発、MR、学術、治験、行政、卸と、6つの道があります。

そのうえで、多くの人が薬局や病院を選びます。それでいいのです。大事なのは、知ったうえで選んだという状態にしておくことです。

やくフェスには、いろいろな経路を通ってきた薬剤師が集まります。求人票では分からない「その仕事の1日」を、直接聞いてみてください。


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木目調の温かいテーブルを背景に、中央にLINEのロゴ、その周囲に「YAKUFES」というタイトル文字がデザインされています。周りにはビールジョッキや食器、薬学を象徴する乳鉢と乳棒が配置され、飲み会と薬学の融合を表現した親しみやすいイメージ画像です。
やくフェスの特徴である、求人票ではなく人と話すつながりを表したイメージ画像です。

記事監修者 漢方薬局 太陽堂 薬局長・薬剤師 林 泰太郎

調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。

・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」

という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。

記事監修者 株式会社アトイ・管理薬剤師 

  • 青森県弘前市出身 日本薬科大学卒業
  • 卒業後は大学病院の門前の調剤薬局に勤務
  • 地域のかかりつけ薬剤師を目指し吉祥寺エリアで勤務
  • その後株式会社アトイに入社現在に至る

卒業してから調剤薬局一筋の経験を活かし、人材育成や教育に携わっていきたいと考え入社しました。

現在はあやめ薬局井草八幡店という店舗で管理薬剤師をして地域の方々の憩いの場として関わらせていただいてます。

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