【薬学部志望者必見】「偏差値だけ」で選ぶと後悔する?大学選びで本当に見るべき5つの判断軸

「薬剤師になりたいけど、どの大学を選べばいいの?」
「私立と国公立で何が違うの?」
「国家試験の合格率が高い大学を選べば安心?」

薬学部を志望する高校生や受験生、そしてその保護者の方が必ずぶつかるのが「大学選び」の壁です。薬学部は6年間という長い時間と決して安くない学費を投資する進路。だからこそ、入学後に「思っていたのと違った」と後悔しないための情報収集が欠かせません。

この記事では、厚生労働省や文部科学省が公表している公的データをもとに、薬学部選びで本当に見るべき「5つの判断軸」を、薬剤師の視点を交えながら解説します。

この記事でわかること

  • 6年制と4年制薬学部の決定的な違い
  • 薬学部選びで重視すべき5つの判断軸
  • 国家試験合格率の正しい読み方(最新データ付き)
  • 大学選びが「就職」にまで影響する理由

目次

1. そもそも薬学部は「6年制」と「4年制」で何が違う?

薬学部と聞くと「薬剤師になるための学部」というイメージが強いですが、実は学科によって目指せる進路が大きく異なります。多くの大学では「6年制」と「4年制」の2つのコースが設けられています。

6年制と4年制の比較

項目6年制(薬学科)4年制(薬科学科など)
主な目的薬剤師の養成創薬・基礎研究者の養成
薬剤師国家試験の受験資格得られる原則得られない
実務実習(病院・薬局)あり(合計22週間)なし
卒業後の主な進路薬局・病院・ドラッグストア・製薬企業など大学院進学・研究職・製薬企業の研究開発など
修業年限6年間4年間(+大学院)

最大の違いは、薬剤師国家試験の受験資格が得られるかどうかです。薬剤師として働きたいなら「6年制(薬学科)」を選ぶのが基本ルートになります。一方、薬の研究開発に携わりたい場合は4年制という選択肢もあります。

ワンポイント
「とりあえず薬学部」で出願すると、入学後に学科の違いに気づくケースがあります。出願前に必ず「自分が目指す進路にはどちらの学科が必要か」を確認しましょう。


2. 薬学部選びの5つの判断軸

「偏差値」や「知名度」だけで大学を決めてしまうと、入学後にミスマッチが起こりがちです。薬学部選びでは、次の5つの軸を総合的にチェックすることをおすすめします。

① 薬剤師国家試験の合格率

6年制薬学部のゴールのひとつが「薬剤師国家試験の合格」です。大学ごとに合格率は公表されており、教育やサポート体制の充実度を測るひとつの目安になります(※ただし読み方には注意が必要。詳しくは第3章で解説します)。

② 実務実習・卒業後の進路実績

5年次に行われる「実務実習」(病院・薬局での合計22週間の研修)は、薬剤師としての土台を作る重要な経験です。大学によって連携している実習先や、卒業生の就職実績は異なります。

③ 研究環境・専門分野の強み

大学ごとに力を入れている研究分野(創薬、漢方・生薬、臨床薬学、感染症など)が異なります。将来やりたいことが明確な人は、その分野に強い研究室があるかをチェックしましょう。

④ キャンパスの立地・通学環境

6年間通い続ける場所です。自宅からの通学時間、一人暮らしの費用、周辺環境なども現実的な判断材料になります。実習期間中の移動のしやすさも見落とせません。

⑤ 学費・奨学金制度

薬学部の6年間の学費は、国公立か私立かで大きく変わります。私立薬学部は学費が高額になる傾向があり、奨学金制度の有無や条件も重要な検討ポイントです。

判断軸チェックすべきポイント
国家試験合格率新卒合格率/過去数年の推移
実習・就職実績連携先施設/主な就職先
研究環境興味のある分野の研究室の有無
立地・環境通学時間/生活費/実習先へのアクセス
学費・奨学金6年間総額/奨学金・特待生制度

3. 国家試験合格率の正しい読み方【2026年最新データ】

大学選びで多くの人が注目するのが「薬剤師国家試験の合格率」です。ここでは最新の第111回(2026年3月発表)の公的データをもとに、合格率の正しい見方を解説します。

全体の合格率

厚生労働省の発表によると、2026年に実施された第111回薬剤師国家試験の結果は次の通りです。

項目数値
受験者数12,774人
合格者数8,749人
全体の合格率68.49%
新卒の合格率86.25%
既卒の合格率41.33%

ここで注目したいのが、新卒と既卒で合格率に大きな差があるという点です。新卒(ストレート合格者)の合格率が86.25%なのに対し、既卒は41.33%にとどまっています。つまり「現役で一度に合格すること」がいかに重要かがわかります。

設置主体別の合格率(第111回)

設置主体合格率
国立大学79.41%
公立大学82.92%
私立大学67.43%(22.32%〜94.87%と幅が大きい)

注目すべきは、私立大学は大学によって合格率に非常に大きな開きがあるという事実です。私立全体では67.43%ですが、個別に見ると22%台から94%台まで幅があります。これは大学ごとに国家試験への取り組み方やサポート体制が大きく異なることを示しています。

大学別合格率 上位校(第111回)

厚生労働省のデータをもとに作成された大学別合格率の上位は以下の通りです。

順位大学名合格率
1金沢大学94.87%
2岐阜医療科学大学94.00%
3国際医療福祉大学 福岡薬学部93.15%
4名城大学92.28%
5山陽小野田市立山口東京理科大学90.52%
6京都大学89.47%
7立命館大学87.63%
8近畿大学86.88%
9長崎大学86.67%
10明治薬科大学86.56%

⚠️ 合格率を見るときの注意点
合格率が高い=必ずしも良い大学、とは限りません。一部の大学では、合格が見込めない学生を卒業させない(卒業試験で留年させる)ことで、結果的に国家試験の合格率が高く保たれているケースもあると指摘されています。合格率の数字だけでなく、「ストレートで卒業・合格できる割合」や、入学定員に対する合格者数の比率まで見ると、より実態に近い判断ができます。


【コラム】「入った大学」より「やった経験」で人生は決まる

大学選びの相談を受けると、多くの方が「合格率が高い大学はどこですか?」「偏差値の高い大学のほうが就職に有利ですか?」と質問されます。もちろん、これらは大切な指標です。

ただ、現場で何年も薬剤師として働き、たくさんの後輩を見てきて感じるのは、「どこの大学を出たか」よりも「学生時代に何を経験し、どんな薬剤師になりたいかを考え抜いたか」のほうが、その後のキャリアを大きく左右するということです。

国家試験は、あくまで薬剤師としてのスタートラインに立つための試験です。合格率の高い大学に入っても、目的意識がないまま6年間を過ごせば、就職活動で「あなたは何がしたいの?」という問いに答えられません。

逆に、合格率がトップではない大学の出身でも、実習や課外活動を通じて「自分はこういう薬剤師になりたい」という軸を持っている学生は、採用の現場でとても魅力的に映ります。

大学選びはゴールではなく、スタート地点を選ぶ作業です。「この大学で、自分は何を経験できるか」という視点を、ぜひ持ってみてください。


よくある質問(FAQ)

Q1. 地元の大学と、有名な薬科大学。どちらを選ぶべき?

A. 一概にどちらが良いとは言えません。判断材料になるのは「6年間の生活コスト」「実習先や就職したい地域」「研究したい分野」です。地元志向が強く、その地域で働きたいなら地元大学にもメリットがあります。一方、特定分野の研究をしたい場合は、その分野に強い大学を選ぶ価値があります。

Q2. 私立薬学部の学費はどのくらい?奨学金で進学するのはリスク?

A. 私立薬学部は6年間の学費が高額になる傾向があり、大学によって差があります。奨学金を利用する場合、卒業後の返済計画を立てておくことが重要です。薬剤師は国家資格を活かして働けるため返済の見通しは立てやすい職種ですが、借入額が大きくなりすぎないよう、特待生制度や給付型奨学金もあわせて検討しましょう。

Q3. 留学や国際的な学びはできる?

A. 大学によっては海外の大学との連携プログラムや、語学・国際薬学を学べるカリキュラムを用意しています。グローバルに活躍したい人は、各大学の国際交流の実績を確認しましょう。

Q4. 合格率が高い大学に入れば、必ず薬剤師になれる?

A. いいえ。合格率はあくまで在籍する学生全体の傾向を示す数字です。最終的に合否を分けるのは本人の学習です。サポート体制を「活用できるか」は自分次第である点を忘れないようにしましょう。


まとめ:大学選びは「ゴール」から逆算しよう

薬学部選びで大切なのは、次の3点です。

  1. 6年制か4年制か ── 薬剤師を目指すなら6年制(薬学科)
  2. 5つの判断軸で総合的に見る ── 合格率だけでなく、実習・研究・立地・学費もチェック
  3. 「どんな薬剤師になりたいか」から逆算する ── 大学はゴールではなくスタート地点

そして、もうひとつ覚えておいてほしいのが、大学選びは「その先の就職」とつながっているということです。実は、5年次に行く「実務実習」が、その後の就職活動に大きな影響を与えます。


🎓 「将来の働き方」を、今から考えてみませんか?

薬学部選びは、その先にある「薬剤師としての働き方」を考える第一歩です。

やくフェスは、薬学生と薬局・企業が食事を交えながら、リラックスした雰囲気で出会える交流イベントです。「どんな薬剤師になりたいか」を考えるヒントが、現場で働く先輩たちとの会話の中にきっと見つかります。

低学年のうちから業界のリアルな話を聞いておくことは、大学選び・進路選びの大きな武器になります。


※本記事の国家試験データは、厚生労働省「第111回薬剤師国家試験の結果について」(2026年3月発表)に基づいています。各大学の最新情報は、必ず各大学の公式サイトや募集要項でご確認ください。本記事は進路選択のための一般的な情報提供を目的としており、特定の医薬品の効能・効果を保証するものではありません。

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