
薬学部生活も後半に入り、実習や就活が本格化すると、誰もがぶつかる壁があります。
「病院薬剤師として臨床を極めるべきか、調剤薬局で地域医療を支えるべきか…」
「ドラッグストアの給料は魅力だけど、薬剤師としてのやりがいはどうなんだろう…」
実習に行けば行くほど、「どっちも良くて、どっちも大変そう」で決めきれない。そんな「業界迷子」になっていませんか?
実はその悩み、「業態(病院・薬局・ドラッグ)」という大きな枠組みだけで選ぼうとしているから起きるのかもしれません。
今回は、古いステレオタイプを捨てて、あなたが本当に輝ける場所を見つけるための新しい基準「3つの相性」についてお話しします。
この記事は、病院から薬局へ転職した先輩や、独自のキャリアを歩む経営者など、現役薬剤師2名の監修のもとでお届けします。
1. 「病院=勉強できる」「薬局=まったり」は昔の話
まず、先輩たちがよく言う「業態ごとのイメージ」を一度疑ってみましょう。
- 「高度医療を学びたいなら病院一択」?
- 実は… 最近は「在宅医療」や「がん化学療法」に特化した高度薬学管理を行う薬局が増えています。病院以上に患者さんの生活に深く入り込み、他職種連携を行う薬局も少なくありません。
- 「安定してまったり働きたいなら薬局」?
- 実は… 店舗によっては1日数百枚の処方箋をさばく「戦場」のような薬局もありますし、逆に病院でも慢性期病院などでは比較的ゆったりとした時間が流れていることもあります。
つまり、「何ができるか」は、業態ではなく「どの会社(どの病院)に入るか」で決まる時代なのです。
先輩薬剤師のリアルボイス(病院&薬局経験者)
「病院4年・薬局8年を経て、今の道を選びました」
私は病院薬剤師を経験してから調剤薬局に入社しました。「薬局に行くとスキルが落ちる?」と心配する学生さんもいますが、逆です。薬局時代に高齢者施設への往診同行では病院での臨床経験が直結します。「場所」が変わっても、あなたの「武器」は活かせますよ!
その経験を活かして、今の漢方の現場では更に活きてきています。(監修:やくフェス主催 / 漢方薬局 嶺耀堂 武田 隆芳)
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2. 業態よりも大切!自分に合う企業を見極める『3つの相性』
では、何を基準に選べばいいのでしょうか?
「看板(業態)」ではなく、以下の3つの軸であなたの「性格との相性」を測ってみてください。

① スピード感の相性(じっくり型 vs チャレンジ型)
組織の動き方と、あなたの性格が合っているかどうかの視点です。
- じっくり型(大手病院・大手チェーンなど):
- マニュアルやルールが整備されている。
- 変化は少ないが、一つのことを着実に習得できる。
- 向いている人:「整った環境で、決められたことを正確にこなしたい」
- チャレンジ型(ベンチャー薬局・隠れ優良企業など):
- 若手の意見が通りやすく、新しい取り組み(アプリ導入、イベント開催など)が早い。
- 向いている人:「自分のアイデアを形にしたい」「変化を楽しみたい」
② 患者さんとの「距離感」の相性
薬剤師として、患者さんとどう関わりたいですか?
- 「点」での関わり(急性期病院・門前薬局):
- 重症度の高い患者さんや、多くの患者さんに対して、短期間で的確な介入を行う。
- やりがい: 専門知識を活かして治療に直結する貢献ができる。
- 「線」での関わり(地域密着薬局・在宅・かかりつけ):
- 同じ患者さんを数年〜数十年単位で見守り続ける。生活背景や家族構成まで把握する。
- やりがい: 「あなただから相談した」と言われる信頼関係・人間関係を築ける。
先輩薬剤師のリアルボイス(在宅・管理薬剤師)
「薬を渡すだけじゃない。生活に入り込むからこそ見える景色がある」
私は在宅特化型の薬局を経て、今も往診同行や地域活動に関わっています。患者さんのご自宅に行くと、病院では見えなかった「生活の悩み」が見えてきます。そこに介入して解決できた時の「ありがとう」の重みは格別です。深く長く患者さんと付き合いたい人には、地域密着の薬局が絶対に合っています。
(監修:株式会社アトイ 高橋 透泰)
③ 「誰と働くか」の相性(これが一番大事!)
綺麗事に聞こえるかもしれませんが、これが最も重要です。
どんなに憧れていた「高度医療ができる病院」に入っても、人間関係がギスギスしていて質問もできない環境なら、成長は止まってしまいます。
逆に、最初は興味がなかった「町の薬局」でも、尊敬できる先輩がいて、熱く語り合える同期がいれば、仕事は驚くほど楽しくなり、スキルも伸びます。
「何を(What)」するかは時代と共に変わりますが、「誰と(Who)」働くかはあなたの毎日の幸福度に直結します。
【比較表】あなたの「大切にしたいこと」はどっち?
迷ったら、この表を見て自分の心を整理してみましょう。

| 判断軸 | Aタイプ(専門・組織重視) | Bタイプ(人・裁量重視) |
| 重視する環境 | 設備が整っている、症例数が多い | 人間関係が良い、意見が言いやすい |
| 成長のイメージ | 専門認定を取りたい、学会発表したい | 経営視点を持ちたい、地域貢献したい |
| 苦手なこと | 曖昧なルール、急な変化 | 縦割り組織、マニュアル通りの対応 |
| おすすめの進路 | 大規模病院、大手調剤チェーン | 地域密着の優良薬局、中小ベンチャー |
もしあなたが「Bタイプ」に少しでも共感するなら、あなたは今の就活で「隠れ優良企業」を見逃している可能性があります。
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よくある質問(FAQ)
新卒でドラッグストアや薬局に行くと、もう病院には転職できませんか?
「絶対に無理」ではありませんが、ハードルは高いのが現実です。
病院(特に急性期)は新卒採用がメインだからです。ただ、監修者の平田さんのように、病院経験を活かして薬局で活躍する方もいますし、逆に在宅スキルを買われて病院へ行くケースも増えています。
奨学金があるから給料重視でドラッグストアか、やりがいで病院か迷います。
その「二択」で悩む必要はありません。
中小規模の優良薬局の中には、病院並みの臨床知識を求められつつ、大手並みの給与水準や借上社宅制度を持つ会社が存在します。視野を広げて探せば、両取りできる選択肢は必ずあります。
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まとめ:正解は「どこに入るか」ではなく「誰と働くか」
「病院だから正解」「大手だから安心」という思考停止は、ミスマッチの元です。
大切なのは、「自分がどんなスピード感で、どんな距離感で、どんな人たちと働きたいか」という相性です。
でも、求人票を見るだけでは「人」や「相性」なんてわかりませんよね?
だからこそ、実際に会って話す必要があります。
やくフェス主催者からのメッセージ
「私自身、病院4年・薬局8年を経て、今の道を選びました」
病院も薬局も、それぞれに良さがあります。だからこそ、ネットの情報だけで決めつけず、実際に働いている「人」に会って確かめてほしい。そんな想いで、企業と学生が本音で話せる場「やくフェス」を作りました。
ここには、監修してくれている高橋先生のように熱い薬剤師がたくさん集まっています。あなたの悩みを、ぜひ私たちにぶつけてください。
(監修:やくフェス主催 / 漢方薬局 嶺耀堂 武田 隆芳)
「病院か薬局か」で迷っていること自体を、企業の担当者にぶつけてみてください。きっと、ネット検索では出会えなかった「第3の選択肢」が見つかるはずです。
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記事監修者 漢方薬局 嶺耀堂 薬剤師・やくフェス主催者 武田 隆芳

これまで4年間病院、8年間調剤薬局で勤務。
西洋薬で様々な事を学んできましたが、身近にいる人の悩みにもっと深く関わり治していきたいという想いがあり漢方の道へ。
西洋医学・東洋学にも精通。
また人事部長の経験から人を繋ぐ取り組み企業×学生の「やくフェス」を開催。
現在100人規模の人数が集まり随時開催されている。
記事監修者 アトイ 人事・管理薬剤師 高橋 透泰

在宅特化型薬局に5年間勤務、在宅医療の経験を積む。
その経験を活かし、管理薬剤師としての役割や薬局運営にも幅広く関わりたいと考え、株式会社アトイに転職。
現在はブルーム薬局上溝店で管理薬剤師として勤務し、在宅医療に加え、学校薬剤師や薬物乱用防止活動などを通じて地域の方々と関わりながら、薬剤師としての役割を広げている。





