【薬学生の就活】「初任給35万」の数字に騙されないで。薬剤師が生涯年収で損しない『給与明細』の読み方

給与明細の「固定残業代」や「住宅手当」を虫眼鏡で詳しく確認し、納得する薬学生のイラスト

就職活動で求人票を見る時、最初に目が行くのはどこでしょうか?

多くの薬学生が「初任給」の数字に注目するはずです。

「A社は月給26万円、B社は月給35万円。じゃあB社の方が絶対にいい会社だ!」

そう即決してしまうのは、少し危険かもしれません。

実は、「初任給が高い会社に入ったのに、生活のゆとりがない」というケースや、逆に「初任給は普通に見えるのに、数年後にお金持ちになっている」というケースが往々にしてあるからです。

今回は、元人事部長と現役経営者の2名の監修のもと、求人票の数字マジックに惑わされず、本当に豊かになれる「隠れ優良企業」を見極めるためのお金の話をします。

目次

1. その35万円、「中身」は何ですか?

まず知っておくべきは、「額面(総支給額)」と「手取り」の違い、そして「内訳」です。

特にドラッグストアや広域展開の薬局で提示される「月給35万円」などの高水準な給与。もちろん魅力的ですが、中身を見ると事情が異なる場合があります。注意したいのが「固定残業代(みなし残業)」や「手当」の扱いです。

  • 会社A(高給与タイプ):月給35万円
    • 基本給:22万円
    • 全国転勤手当:5万円
    • 固定残業代:8万円(45時間分を含む)
    • 「どこへでも転勤OK」「残業は45時間まで込み」という条件付きの金額かもしれません。
  • 会社B(隠れ優良タイプ):月給26万円
    • 基本給:26万円
    • 残業代:別途全額支給
    • 残業した分だけプラスになります。また、基本給が高いため、ボーナスの算定基礎(基本給×◯ヶ月)が高くなる傾向があります。

「初任給が高いから」と飛びついたら、実は長時間労働や全国転勤が前提の給与だった、ということもあり得ます。数字の「内訳」を必ず確認しましょう。

先輩薬剤師のリアルボイス(元人事部長の視点)

「ボーナスは『基本給』で決まることを忘れずに」

多くの会社で、賞与は「基本給 × 〇ヶ月分」で計算されます。

つまり、総支給額が高くても基本給が低く設定されていると、ボーナスの額がガクッと下がることがあるんです。さらに退職金も基本給ベースが多いので、長く働くほど差が開きます。「手当」のマジックには要注意ですよ。

(監修:やくフェス主催 / 漢方薬局 嶺耀堂 武田 隆芳)

2. 【比較表】「家賃補助」で逆転する?可処分所得の真実

次に重要なのが、「可処分所得(自由に使えるお金)」の考え方です。 ここで大きく影響するのが、家賃補助や借上社宅などの「住宅手当・福利厚生」です。

見かけの初任給が高い「大手・広域グループ」と、初任給は平均的な「地域密着の優良薬局」でシミュレーションしてみましょう。

初任給35万円のA社と26万円のB社を比較し、薬剤師の給与の罠を示唆する画像
項目【A社】見かけ高給タイプ(大手・広域など)【B社】隠れ優良タイプ(地域密着など)
初任給(額面)350,000円260,000円
住民税・保険料等▲約70,000円▲約50,000円
手取り額280,000円210,000円
家賃(自己負担)▲80,000円
(都市部は補助が出にくい等)
▲10,000円
(借上社宅制度を利用)
手元に残るお金200,000円200,000円

いかがでしょうか?

額面ではA社の方が9万円も高いのに、最終的に手元に残るお金(自由に使えるお金)はまったく同じになりました。

特に地方の中小企業や隠れ優良企業では、給与の額面を競うのではなく、税金対策にもなる「手厚い家賃補助(8〜9割会社負担など)」で社員に還元しているケースが多くあります。

「転勤リスクなし」で「手元に残るお金は同じ」。

こう考えると、B社の条件が非常に魅力的に見えてきませんか? これも一つの「実質的な給与」なのです。

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「そもそも隠れ優良企業ってどうやって探すの?」という方は、まずはこちらの記事をチェック!

3. 「初任給」はゴールではなくスタート

最後に視点を「未来」に向けましょう。

初任給はあくまで「スタート地点の価格」です。重要なのは「入社後にどう上がるか(昇給率)」です。

  • 大手チェーンの一部:初任給は高いが、店長やエリアマネージャーなどの役職につかない限り、数年間ほぼ横ばい。
  • 地域密着の優良企業:初任給は平均的だが、実力次第で2〜3年目に大幅アップ。経営陣との距離が近く、個人の頑張りが給与に反映されやすい。

「今もらえる35万円」と「3年後にもらえる40万円」、あなたはどちらを選びますか?

目先の数字だけでなく、「30代、40代のモデル年収」を聞いてみることが、将来の安心につながります。

薬剤師の初任給と可処分所得の比較グラフ。額面が高いA社と家賃補助があるB社で、最終的に自由に使えるお金は同額になるシミュレーション図

先輩薬剤師のリアルボイス(経営者の視点)

「私たちは『未来のあなた』に高い給料を払いたい」

経営者として本音を言うと、何もできない新人のうちは赤字なんです(笑)。でも、仕事を覚えて会社に利益をもたらしてくれるようになったら、それに見合う給料を払いたいし、払わないと辞めてしまいますよね?

初任給の数万円の差なんて、実力がつけばすぐに逆転できます。「今いくらもらえるか」より「5年後、自分がいくら稼げる人材になれる環境か」を見てほしいですね。

(監修:漢方薬局 太陽堂 林 泰太郎)

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お金に関するよくある質問(FAQ)

ここからは、学生からは聞きにくい「お金の疑問」にお答えします。

面接で給料のことを聞くと印象が悪いですか?

聞き方次第です。「給料はいくらですか?」と直球で聞くより、「長く働きたいと考えているので、入社3年目や5年目のモデル年収を教えていただけますか?」と聞くと、キャリアプランを考えている前向きな印象を与えられます。

「年俸制」と「月給制」どっちが良いですか?

一長一短です。

「年俸制」は年間の収入が確定している安心感がありますが、みなし残業代が含まれているケースも多いです。
「月給制」は残業や手当で変動しますが、働いた分が反映されやすいです。どちらが良いかよりも、総額と労働時間のバランスを見ましょう。

ボーナス(賞与)は必ずもらえますか?

法律上、ボーナスの支払いは義務ではありません。業績連動の場合が多いです。

求人票に「賞与あり(年2回 / 計3.0〜4.0ヶ月分)」などと実績が明記されているか確認しましょう。基本給が低いと、「◯ヶ月分」の金額も低くなるので注意が必要です。

まとめ:数字の裏側にある「豊かさ」を見に行こう

「初任給が高い=良い会社」という単純な図式だけで決めてしまうのは、非常にもったいないことです。

  1. その金額に「固定残業代」や「転勤手当」が含まれていないか?
  2. 家賃補助を含めた「実質的な手取り」はいくらか?
  3. 入社後の「昇給ペース」はどうか?

これらを総合的に判断することが、結果的に「コスパ・タイパの良い就活」になります。

もし、「求人票の見方がわからない」「聞きにくいお金の話をぶっちゃけて聞きたい」と思ったら、ぜひ「やくフェス」に来てみてください。

ここに参加している企業は、学生と「対等な関係」を築きたいと考えている企業ばかり。お金の話も、将来の話も、包み隠さず話してくれるはずです。


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木目調の温かいテーブルを背景に、中央にLINEのロゴ、その周囲に「YAKUFES」というタイトル文字がデザインされています。周りにはビールジョッキや食器、薬学を象徴する乳鉢と乳棒が配置され、飲み会と薬学の融合を表現した親しみやすいイメージ画像です。
【対話重視】リアルな会話 × つながり
「求人票ではなく、人と話す」というやくフェスの最大の特徴を表現します。

モチーフ: 「吹き出し」+「笑顔」or「握手」

ビジュアル:

大小2つの吹き出しが重なっている(会話している様子)。

吹き出しの中に、シンプルな「ニコちゃんマーク」や、薬剤師の「十字マーク」を入れる。

印象: 「相談できそう」「先輩と話せる」という安心感を伝えます。

記事監修者 漢方薬局 嶺耀堂 薬剤師・やくフェス主催者 武田 隆芳 

これまで4年間病院8年間調剤薬局で勤務。

西洋薬で様々な事を学んできましたが、身近にいる人の悩みにもっと深く関わり治していきたいという想いがあり漢方の道へ。

西洋医学・東洋学にも精通。

また人事部長の経験から人を繋ぐ取り組み企業×学生の「やくフェス」を開催。

現在100人規模の人数が集まり随時開催されている。

記事監修者 漢方薬局 太陽堂 薬局長・薬剤師 林 泰太郎

調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。

・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」

という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。

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